鵜殿のヨシ原

大阪府高槻市の東部に道鵜町という所が御座います。ここには琵琶湖から大阪湾へつながる淀川が流れており、その淀川の河川敷は古くから葦(ヨシ)が草原のように群生(鵜殿のヨシ原)致しております。この鵜殿のヨシは雅楽の三管の一つ、篳篥(ヒチリキ)のリード(蘆舌)の材料として古より使用されてきました。

吉田楽長

大阪楽所 吉田楽長

鵜殿のヨシ原は、毎年冬にヨシ焼きが行われてきました。冬の風物詩として親しまれてきた半面、近所に灰が降り、苦情も入ることもしばしば。しかしながら、このヨシ焼きを行わないと、雑草が生い茂り、立派なヨシが育たないのだそうです。今年は2月13日に無事ヨシ焼きがおこなわれましたが、実に3年ぶりとなり、その間、良質のヨシはほとんど育たなかったのでありました。

鵜殿のヨシ原

すくすく育つヨシ

ヨシとは葦と書きますが、本来はアシと読みます。アシという音が良くないので、ヨシになりました。映画がシネマからキネマとよばれるのと同じですね。4月10日より、ヨシ原に生える雑草取り、つる草抜きが始まりました。広大な面積があり、区画を整えて、それぞれが区画内に生えた雑草を抜くというボランティアでございます。大阪楽所は吉田楽長を筆頭に楽所会員が4月23日にボランティア活動を行いました。

雑草

雑草やヤブガラシ

ヨシの間にたくさんの雑草が生えております。ヨシを踏まないように丁寧に雑草を取り除くという作業ですが、すでに外気温は25度を越え汗ばむ陽気。なかなか労力のかかる仕事でございます。雅楽は1400年以上の歴史と伝統。鵜殿のヨシ原も雅楽の一部であり、長く後世に残して行く事が課題であります。

○本日のことば

古来 摂津国 鵜殿の地に生ずるところの蘆 これを用ゆ

by楽家録